8月に読んだ本のこと。
8月はわりといいペースで本が読めたので、読んだ本をざっくりご紹介。
7月中旬から上巻を読み始めて、途中別の本を差し挟みつつも中巻、下巻と読了。
下巻のラストスパートの怒涛のような畳み掛け方がすごかった。
宗教とか人種とか国境とか成功とか、全部を巻き込みながら進んでいく主人公・歩の半生は壮絶。
西加奈子『サラバ!』読了。一人の少年が青年になり、「信じるもの」を見つけるまでの物語。個人的に最初に想像してたストーリーとは違ってたけど、思いがけない方向にどんどん転がっていく歩の人生の続きが気になりすぎてあっという間に読んだ。面白かった! pic.twitter.com/95uaW4vSn1
— yuko@読書 (@book_yuko) 2018年8月4日
〇筋トレが最強のソリューションである/Testosterone
筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法
- 作者: Testosterone(テストステロン)
- 出版社/メーカー: U-CAN
- 発売日: 2016/01/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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筋トレしたいなーという思いがここのところ増してきていたのですが、実際に行動に移せないまま月日が経過。自分を鼓舞するために手に取ったのが、実は前から気になっていたこの本。
目論見通り、最高に鼓舞してくれました。 これ読んだ後YouTubeで筋トレ動画探して実際にやってみちゃったくらいには鼓舞された。筋肉は裏切らない。その後もぼちぼちと筋トレは続けてます。ムキムキにはならなくていいから、せめて最低限の筋肉やら体力やらは身につけたい。
一番最初の、プロローグの時点でもう心を奪われた。けどそんなのは序の口で、全編を通して心を揺さぶられ続けた。読み終わった時には何というかもう物語に圧倒されてしまって、しばらく感想を書く気になれなかったくらい。中学生くらいの頃の友人関係とか繊細さとか、そういうのを全部記憶から引きずり出された感じ。
できることなら、今学校に行けていない子どもたちにも、かがみの孤城のような場所や、喜多嶋先生のような存在がそばにあってほしいと強く思う。
辻村深月『かがみの孤城』読了。話の中での出来事を自分のことのように憤ったり喜んだり悲しんだりして、何度も泣きそうになりながら読んだ。ここまで心を揺さぶられた本は久しぶり。本当に読んで良かった。 pic.twitter.com/ERVXBZAcAs
— yuko@読書 (@book_yuko) 2018年8月13日
〇星をつなぐ手 桜風堂ものがたり/村山早紀
『桜風堂ものがたり』の続編。一整をはじめとした登場人物たちの、その後の物語。
今作も優しくて温かくて幸せな世界が広がっている感じ。本がもっと好きになった。
村山早紀『星をつなぐ手』読了。
— yuko@読書 (@book_yuko) 2018年8月23日
『桜風堂ものがたり』の続編となるお話。
なんて幸せな世界なんだろう。風早の街にも、桜野町にも行ってみたい。
本を愛する人たちの愛が溢れる物語でした。 pic.twitter.com/OvJyU97Rja
〇ツバキ文具店/小川糸
鎌倉旅行の予定が控えていたので読んでみた。
もうね、好き。この本の中に流れる空気感がほんとに好き。こんな生活がしてみたい。みんなと友だちになりたい。
小川糸さんの作品、初めて読んだけどかなり好きなテイストです。続編の『キラキラ共和国』も含め、ほかの作品も読んでみたい。
小川糸『ツバキ文具店』読了。文具店兼代書屋を営む鳩子のもとに舞い込む変わった手紙の依頼と、そこに関わる人たちみんなが愛おしい。
— yuko@読書 (@book_yuko) 2018年9月4日
この本の中の雰囲気がとても好き。ほんと好き。もうこの世界に住みたい。バーバラ婦人とお友達になりたい。
手紙っていいよね。 pic.twitter.com/SbEuY7VCGi
積読はまだまだたくさん。本を読む習慣が復活してきた今日この頃です。
働くこと。『モモコとうさぎ』
大島真寿美『モモコとうさぎ』読了。
就活に失敗した主人公・モモコが、家出して様々な場所を渡り歩いていくお話。
就活に失敗したってそれが全てじゃないし、必要としてくれる人や場所は必ずある、という柔らかなメッセージに包まれた本でした。就活で苦しんでる人にオススメしたい。
かく言う私も就活にものすごく苦戦した人なので、就活やってる時にこの本読んでたらだいぶ救われてたかもしれないなぁ。就活での評価が全てじゃないって、分かってるつもりでも当時はやっぱり苦しかったから。
みね婆との暮らしや桃源郷での描写が楽しそうすぎて羨ましい。お金はなくていいからそういう生活がしてみたくなる。かと言って今の職場を簡単に手放す勇気はわかないけど。
私は今は普通に働いてるけど、就活してた時にもっと幅広い可能性を踏まえて考えたら良かったなぁって思う。あの頃は「とにかくちゃんと就職して稼がなきゃ!」って思ってて、ものすごく狭い選択肢の中でしか物事を見れてなかった。「新卒で就職できなかったらその後の就活はもっと厳しくなる」って恐怖を煽られていたし。
けどそんなに慌てなくても、モモコみたいに身一つでいろんな場所に行ってみたりとかしたら、ほんと世界が広がってただろうになって今となっては思う。本当は今からでもそうやって生きてみたいくらいなんだけどね。
そんな感じで、働き方とか生き方とか、そういうことに思いを馳せたりした読後なのでした。
今年読んだ本を振り返る。
お久しぶりです。気付いたらいつの間にか大晦日になってた。今日で2017年終わりとか早すぎない?
全然実感わかないけど、今年読んだ本の振り返りをしてみたいと思います。
と言っても、今年は人生初の転職をして、前職とは比べ物にならないくらい日々忙しくなってしまったことと、それに伴う精神的疲労感でほとんど本が読めていないのです。
なので今回は、その少数精鋭の本たちの中から、良かった本2冊のご紹介です。
舞台は第二次世界大戦中のポーランド、アウシュヴィッツ収容所。その中で、命懸けで本を守った一人の女の子のお話。
アウシュヴィッツというと、昔本で読んだアンネ・フランクの伝記由来の知識しかなかったため、多少フィクションが入っているとはいえ図書係が実際にいたなんて全く知らなかった。
ディタの勇気と知恵は本当に素晴らしいと思う。自分が同じくらいの歳で同じ環境にいたとしてもディタのようには振る舞えないかもしれない。
収容所での描写は目を背けたくなるようなものも多かったけれど、それが現実にあったんだということはしっかり覚えておかないといけないなと思う。
そんな状況の中でも、本を読めば違う世界に旅立つことができるし、本を読むことがディタの心を救い、生き延びる力となった。本の力って素晴らしい。
プラハにもいつか行ってみたい。時計台も見てみたい。
大学の同級生である蘭花と留利絵。2人の友情と恋愛を生々しく描いた作品。
蘭花の恋愛観も、留利絵の友情観も、自分と重ね合わせて考えてしまった。特に留利絵のような、「自分は一番の親友だと思ってるのに相手はそうじゃない」みたいな、友情のすれ違いみたいなものはすごく身に覚えがあるので本当に胸が痛かった。何で私が一番じゃないの、っていう。
茂実がダメ男だってわかってるのに離れられず、何だかんだ付き合いを続けてしまう蘭花の気持ちもわかる。自分のことを愛してくれる人なんてこの人だけかも、って思ってしまうんだよなぁ。そんなことないのに。
恋愛も友情も、ほどほどに健全な関係でいたいな、と思った。辻村さんの作品はこういう感情の動きがすごくリアルに感じられて、いつも登場人物にかなり感情移入してしまう。
今年読んだ本は、トータル18冊。冊数としては少ないけれど、今年も面白い本に出会えて良かったです。
ちなみに今読んでるのはこれ。
老舗の百貨店で起こる、魔法の白い猫にまつまるちょっと不思議なお話。
星野百貨店の描写が素敵でときめく。こんな百貨店が近くにあったらいいのになぁ。魔法の白い猫にも会いたい。
来年は時間を上手く使って、もう少したくさん読めたらいいな!ハケンアニメとかアイネクライネナハトムジークとか森見さんのエッセイとか、買ったけど読めてない本はまだまだ山積みなので!
来年も読書ライフを充実させるぞー!
広島への旅。―坂本真綾 Open Air Museum 2017―
「第34回世界遺産劇場-嚴島神社-平清盛生誕九百年 前年祭―坂本真綾 Open Air Museum 2017」
行って来ました。
北関東からはるばる広島へ、一泊二日の弾丸旅行。
ライブの感想やら、ちょっとだけできた広島・宮島観光の話やらを書いていきます。
〈6月3日 ~1日目~〉
特急と新幹線を乗り継ぐこと約5時間、ようやく広島駅に到着。ホテルに荷物を置きに行くため広島電鉄に乗り、八丁堀で降りたら人がたくさんいるし屋台は出てるしで混雑していて。何事かと思ったらその日は『とうかさん大祭』というお祭りがやっていたらしく、浴衣を着た女の子たちがそぞろ歩きしてました。なかなか前に進めず、ホテルまで思った以上に時間がかかってしまい思わぬタイムロス。しかし浴衣は良いから許す。
荷物を置いて再び広島駅に戻り、今度は宮島へ。潮風に吹かれながら、約10分間の船旅。
この時の潮風が気持ち良くて。日も暮れかかっていたおかげで暑くもなくすごく爽やかなひとときでした。
宮島に着いて、まずは厳島神社へ。
朱塗りが色鮮やかで綺麗。
お天気も良くて、朱色がよく映えていました。
夕飯は『芝居茶寮 水羽』さんにて、名物あなごめし。タレがいい味付けで、美味しかったです。
鹿が普通に歩行中。
いよいよ開場、そして開演。
ステージに現れた真綾さんは白いワンピース姿。久しぶりの生真綾さんが美しくてもう感激。
始まりは『おかえりなさい』から。 この歌詞がね、ここのところ仕事の疲れとかその他もろもろいろんなことで弱っていた心の琴線に触れてしまって、もう既に泣きそうになった。
その後の『ダニエル』のサビにも泣きそうになり、『僕たちが恋をする理由』のイントロで遂に泣いた。いや頑張って隠したけどさ。完全に私を泣かせに来ているセトリだった。
夕暮れから夜に移り変わっていく時間の神秘的な感じと、空気の涼やかさと、厳島神社の荘厳さと、真綾さんの美しさと。
全てが相まって、ものすごい癒し効果でした。満たされた、とても幸せな気持ちになれた。感動。
『光あれ』の力強さに励まされ、『プラチナ』、『シンガーソングライター』で楽しい気分になり、最後は『ユニバース』でしっとりと終了。
あっという間の1時間半でした。もっと聴いていたかったなぁ。
帰りのフェリーの中でも、その感動にずっと浸っていました。行く前は体調が思わしくなかったりして出かけるのがちょっと億劫に感じたりもしてたけれど、これは本当に行って良かった。真綾さん一生ついて行きたい。
♪セットリスト
01.おかえりなさい
02.ループ
03.ロマーシカ
04.ダニエル
05.うちゅうひこうしのうた
06.僕たちが恋をする理由
07.奇跡の海
08.ヘミソフィア
09.Million Clouds
10.まきばアリス
11.光あれ
12.プラチナ
13.シンガーソングライター
14.ユニバース
〈6月4日 ~2日目~〉
お昼過ぎには帰りの新幹線に乗らなければならないため、午前中だけ観光。
この日の目的は平和記念公園。ホテルを出て、広電で『原爆ドーム前』へ。
広電を降りると、本当にすぐ目の前に原爆ドームがありました。
晴れた空の下、静かに佇んでいました。
川沿いを歩きながら、じっくりと観る。
今、こうして何事もなく旅行できていることに感謝しつつ。
ここでたくさんの人が亡くなったり苦しんだりしたんだと思うとまた泣きそうになりました。昨日から涙もろい私。一人旅で、多少感傷的になっているというのもあるけれど。
今は川沿いで遊んでいる親子連れがいたり、ランニングしてる人がいたりして、見えている景色は平和そのもので。このままの平和がずっと続けばいいなぁなんて思いながら、平和記念公園へ向かいました。
お散歩がてら、公園内をゆっくりと歩いて、平和記念資料館へ。
ここに来たのは高校の修学旅行以来だから、約10年ぶりくらい?リニューアル中ということで、記憶とはだいぶ違っていました。
中にはオバマ前大統領の影響もあってか、外国人観光客の方々がたくさん。彼らの目に、あの展示はどう映ってるんだろうなぁ。
一つ一つじっくり見ていたら時間があまりなくなってきてしまったため、後ろ髪を引かれつつ資料館をあとにしました。またいつか絶対来よう。
お昼ご飯は迷った末、近くにあった『握手カフェ』へ。
お好み焼きをスティック状にした『オコス』と、『瀬戸内レモンソルベ』をいただきました。美味しかった!
ついでに隣接していたお土産屋さんでいろいろ購入。広電で広島駅に戻り、あっという間に新幹線の時間。
そんな感じの、一泊二日の弾丸ツアーでした。
広島いいところだなぁ。また行きたい。
真綾さんの歌と厳島神社の神秘的なパワーに癒された、良い旅になりました。
新生活。
新しい生活がはじまって3週間。ようやく生活のテンポが掴めてきました。
職場も、住む場所も、人間関係も全部一気に変わって。正直この3週間はとても辛かった。一人暮らしになったから全部自分でやらなくちゃいけないし、仕事では慣れないことばかりで不甲斐ないし、人間関係もまた一から構築しなきゃいけないし。
新しい職場の空気は、前の職場とはだいぶ違っていて、かなり慌ただしい。音楽用語で例えるなら、前の職場がアンダンテだったのに対して、今の職場はアレグロ ヴィヴァーチェな感じ。
想像以上に大変で打ちのめされそうになって泣きたくなることも多々あるし、既にもう自分には向いてないんじゃないかとか思うこともあるけれど、それでも何とか食らいついてやっています。やるべきことも何となくとだけどわかってきたし。
何よりやっぱり憧れなんですよね。仕事のことをちゃんとわかっていて、やるべきことをサクサクこなしていく人って。自分もそうなりたいなぁ、と。本当になれるのかなぁ、という不安もなきにしもあらずですが。とりあえずは死なない程度に頑張ろう。
今読んでいる本は、森見登美彦さんの『夜行』です。どんどん世界観に引き込まれていく感じがたまらない。昨日は早く寝るつもりだったのに、読みふけってしまっていつの間にかかなり時間が経ってた。
気持ちのすれ違いから、考えたこと。
「あなたのためを思って」とか、「心配してるから」とか、そういう言葉を枕詞にすれば何言ってもいいっていうわけじゃないよね。そういった言葉を笠に着て、無遠慮な言葉を投げるのは違うと思う。
黙って見守ってて欲しい時とか、空気読んで何も言わないで欲しい時もある。そういう時に、相手からそうしてもらえるかどうか、または逆の立場の時に自分がそうできるかどうかで、自分・相手の評価や印象が変わるんじゃないか、と。何でも話せばいいってもんでもないし、それを相手に強要するべきでもない。
もちろん何も言わなくても察してほしいというのは甘えではあると思うし、自分から何も話してもいないくせに分かってくれないと怒るのは暴挙だと思うけれど、ある程度事情を知っていて、相手を信頼しているのであれば、相手が自ら話してこないのに無理に聞き出そうとすのは良くない。
相手には相手なりの考えがあってその行為(話さないこと)を選択しているのだから、それを尊重してあげることも必要だと思う。もし自分が話さない側の立場なら、何かあったら話聞くからね、とかって受け入れる体制を整えて待っていてくれているだけでも多少安心する。そしてもし何か話した時は、決して否定せずに受け止めてほしい。そっか、そうなんだね、と言ってくれたり、気持ちに共感してくれるだけでも少し楽になる。
変に「頑張れ」とか、「それくらいできるよ」とかって相手を鼓舞したりするのはあんまり良くなくて、ただ共感して欲しかった、話を聞いて欲しかっただけなのに、ということになりかねない。頑張れないから悩んでいるのであって。落ち込んでいる人、悩んでいる人を責めたり否定したり、「何で〇〇しないの?」などと言ったりするのはNG。それをされるとものすごく嫌な気分になるし、もう二度と相談なんかするかという気分になる。
話してくれなきゃわかんないとか言って話させようとするのは相手の意思に反しているし、それは自分の心配な気持ちを満たしたいだけのエゴになる。黙って見守ることも愛だと思う。
相手も何も考えないで行動してるわけじゃないと思うし、話すことが全てじゃない。自分の価値基準だけで相手を判断しちゃいけないな、と。どんなに親しい相手でも、あくまで他人なわけだし。どんなことを言われたら傷付くかくらいある程度想像できるし、いくら近しい関係でも言っていいことと悪いことがある。
だけど、いつまでもギクシャクしてるのは自分にとっても相手にとっても気分が悪いし得策ではないと思うから、どちらも大人になることも大事。いつまでも引きずらず、お互いに相手を一人の人間として尊重する姿勢が必要なんじゃないだろうか。
長々と書いてきましたが。
こんなことを考えたのは、自分自身に起きた二つのすれ違いがあったから。
一つ目は恋人と、もう一つはそれに関連して母親と。私が余計なことをして恋人を怒らせ、それについて落ち込んでいた私に対して母親が余計なことを言って私を怒らせた、という構図です。つまり私は怒らせた側と怒った側両方の気持ちを立て続けに体験したわけで、それについて考えたことを記録に残しておこうと思った次第です。もう同じことは繰り返したくないし、大切な人を不快な気分にさせたくないから、その教訓として。
自分は嫌だと思っていたことでも、相手が変わると今度は自分が相手に求めてしまっていたものもあるなぁと反省しました。親には口出しされたりするのは嫌だし話したくないこともあるのに、恋人に対してはいろいろ口出ししてしまったり、何でも話してほしいと思ってしまっていたり。申し訳ない。
けれどこうして思ったことを改めて書き留めてみると、これからの親や恋人との接し方を少し明確化することができたんじゃないかな、と思います。
怒らせた側/怒った側、両方の立場から考えたので、ところどころ立場がごっちゃになっているかもしれないけれど、ひとまずそんな考えごとでした。
最近読んだ本の話。
最近はわりといいペースで本が読めています。今月に入ってから短いものも含めて4冊ほど。この調子で今年もいろんな本に触れていきたいなぁと思います。
その中から良かった本を何冊かご紹介。
・桜風堂ものがたり/著:村山早紀
書店員が主人公の、奇跡と再生の物語。場面ごとに色彩が浮かんでくるような、色鮮やかなお話です。表紙も素敵。
全編を通して、穏やかであたたかな光の中にいるような、優しい雰囲気が満ち溢れています。けれど、書店の現状など、リアルな部分も描かれていて。その苦しい中にあっても、様々な工夫をしながら、書店を盛り上げていこうとする書店員や他の登場人物たちが、とても素敵で魅力的でした。自分もこんな仕事がしたい!と思わせてくれるような。
私は書店という場所が大好きで、何はなくともついつい足を運んでしまうのですが、この本のように書店員さんたちの努力があるからこそ、書店は面白い場所なんだなとこの本を通じて改めて知ることができました。今度書店に行く時は本の並びなどもよく見てみたい。きっとそれぞれの書店に頑張っている書店員さんがいるんだろうな、と思いを馳せながら見ることができそうです。
先日発表になった本屋大賞にもノミネートされていました。嬉しい限り。これを機にたくさんの人に読んでもらいたい本です。
桜風堂ものがたり [ 村山早紀 ]
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・プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術/著:小宮昇
いろいろと相談に乗ったり愚痴を聞いたり、落ち込んでいるところを励ましたりする場面が多いのですが、なんか上手くいかなくて悩んでたんですよね。余計落ち込ませてしまったりとか、あれ、ちょっと怒ってる?みたいな雰囲気になったりとか。
ちゃんと話を聴きたいし、励ましたいのに、何故か思うようにいかないということが多々あったため、きちんと話しの聴き方を学びたいと思い手に取りました。
この本は、そもそもの人間の心の動きや働きについての解説から始まり、傾聴のコツやこんな時どう対応したらいいのか、といった場面想定シミュレーションまで教えてくれています。この本を読み進めるにつれて、自分の間違っていたところがまぁあるわあるわ…。だからあの時ああだったのか、とか、これはやっちゃいけなかったのか、とか、いろいろ合点がいく一方、若干の後悔も…。
けど、これからは相談や愚痴なんかの同じような場面に遭遇した時はこうしよう、という指針ができたので良かった。「上手に聴く」こと、共感することって大事。もっと早く出会いたかった本です。仕事上でもプライベートでも、周りともっといい関係を築きたい人にはぜひ読んでもらいたい一冊。
プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術 [ 古宮昇 ]
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・地方創生大全/著:木下斉
まちビジネス事業家として活躍されている木下さんによる、地方が抱える問題点とそれを乗り越えて活性化していくための方法論。
自分が住んでいる地域でもいろいろな事業やイベントをやってはいるけれど、あまり目に見えて成果が上がっているようには感じられなくて。そんな地方が活性化していくには何が必要なのか知りたくて読みました。
それでわかったのは、地域活性化は行政の施策や補助金頼りではなく、自分たちで考え、資金を調達して事業をおこし、それを続けていくことが不可欠だということ。
声の大きい反対者に怯むことなく、地道に成果を挙げていって賛同者を増やしていくこと。
補助金だからといって無責任に浪費せず、継続可能な計画を論理的に立てること。
自分たちのまちの活性化は、他人任せではなく自分たちで考え実行すること。
撤退する場合のことも最初からきちんと考えておくこと。
失敗してもそこから学んでまた立ち上がること。
地域活性化はそう簡単にいくものじゃない。けれど、自分たちで考え、地道に、お金を堅実にやりくりしながらとにかく継続していくという姿勢が未来に繋がっていく。
勉強になりました。確かに、こういう考えの人たちが増えたらもっと地方は元気になるんじゃないかな。行政でも民間でも。
地域活性化に携わることを考えている人、また現在携わっている人全てに読んでほしい本です。
地方創生大全 [ 木下 斉 ]
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ひとまず3冊のご紹介でした。
桜風堂ものがたりの著者、村山早紀さんとはTwitterで少しお話させていただいたこともあるので、ノミネートは本当に嬉しかったなぁ。読みたいなと思って探し回った末に運よくサイン本を購入できたということもあり、思い入れの深い本です。
桜風堂ものがたり、リアル書店を探し回っても見つからなかったのでe-honをのぞいてみたら何とサイン本発見。迷わず購入。サイン本は手に入らないと思ってたから嬉しい!大事に読もう。 pic.twitter.com/woUWl9L5Yz
— yucca (@yucca_21) 2016年12月5日