桜花雑貨店

本とか音楽とか考えたこととか。

海の底と黒髪の乙女とメジャースプーン。

本は基本的に作家買いするタイプです。好きな作家さんの新作が出たら買っちゃう。お財布事情はおいといて。

それくらい好きな作家さんを、今回は3名ほど挙げてみます(敬称略)。

 

〇有川ひろ(有川浩

有川さんのお名前はラノベにハマっていた中高生の頃に見聞きしたのが最初。しかし自衛隊ものということもあり「何となく難しそうな話だなー」と思い勝手に読まず嫌いを発揮して数年。初めて著作を手に取ったのは大学生になってからで、大学の生協の書店で見かけた「植物図鑑」がきっかけだった。表紙のカスヤナガトさんの絵に惹かれたのもさることながら、パラッと読んでみた感じ面白そうだったので購入。「有川さんってこういう話も書くんだー」と意外だったのもある。

その「植物図鑑」を読んで即、素晴らしいまでのベタ甘ラブコメぶりに完全にノックアウトされ、有川さんの他の作品を漁り出す日々が始まった。同じようなベタ甘ラブコメはもちろん、中高生の頃読まず嫌いで読んでいなかった自衛隊ものまで、次から次へと読んだ。それはもう水に飢えた砂漠の旅人のように。「面白い本」を求めていた私の欲求に、有川作品はドストライクだったのだ。

「海の底」や「図書館戦争」を読んだとき、何でこんな面白い本を今まで読んでなかったんだ!と後悔した。それくらい衝撃的だった。

作品に出てくる登場人物たちの、真っ直ぐさやひたむきさや可愛らしさ、そしてちょっとの不器用さ。苦難を乗り越え成長していく彼らからは、いつも元気をもらえる。

最近改名された有川さん。体調が優れないこともおありになるようだけれど、ずっと応援しています。

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

 
図書館戦争

図書館戦争

 

 

森見登美彦

黒髪の乙女に出会ったのは大学2年生、二十歳のときだった。そしてあっさりと恋に落ちた。彼女に。そして森見作品に。

夜は短し歩けよ乙女」は、京都の街を舞台にしたファンタジックな恋愛小説。京都大学下鴨神社といった現実にある京都の地名や建物と、ありえないようなファンタジーの要素が入り混じったその世界観に、あっという間に夢中になった。自分自身も大学生だったせいか、大学生活特有のふわふわした時間とファンタジックな世界観が何となくリンクしているような感覚もあって、ますます夢中になった。

作者の森見さんご本人は、インタビュー等を拝見している感じではとても穏やかな空気感をまとった方で、その人柄も好きな理由の一つ。理屈っぽくてひねくれていて、だけどユーモアがあってどこか憎めない語り口や、リズム感のいい文章が大好きな作家さん。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

 

 

辻村深月

これも大学時代の話なのだが、あるとき友人が「この本面白いよ」と口にしていたのをたまたま耳にした。その本というのが、辻村さんの「ぼくのメジャースプーン」だった。大学に入学して以来、片道1時間半の通学時間の大部分を読書に充てていた私は、その言葉を聞いて早速書店に走った。文庫としてはわりと厚めなその本に当初は圧倒されたが、読み進めていくうちにどんどんと物語の中に引き込まれた。先の展開が気になってしまい、少しの空き時間も惜しんで読み進め、ラストがどうなるのかハラハラしながら、主人公の少年を見守った。その繊細な感情や心の動きの描写に、心を掴まれてしまった。

自分ではなかなか言葉にできなかったもやっとした気持ちを、明確な言葉にしてくれたのが辻村作品だった。特に思春期の子どもの心理描写や心の内面の描き方がとても良くて、「なんであの頃の私の気持ちがわかるの?」と思ってしまうことも多い。大学生の時に出会えて本当に良かった。けど本当はもっと早く、中高生の頃に出会っていたかった。これからの作品も本当に楽しみにしている。

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

 
傲慢と善良

傲慢と善良

 

 

他の作家さんについてもまた書きたい。今回はここまで!