桜花雑貨店

本とか音楽とか考えたこととか。

本屋で旅行を予約する

f:id:xusanyanx:20190503175535j:plain(<a href="https://www.photo-ac.com/profile/1835181">JOYWORK</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真)

 

私は本屋さんが好きだ。本に囲まれた、その空間が好きでたまらない。本の匂いに包まれながら、整然と本が並んだ中を歩くことも好き。外出すれば必ず本屋に寄るし、買う買わないに関わらず本屋を隅々まで巡って本を見ることが習慣。誰かと一緒にいる時でも、「ちょっと本屋寄っていい?」と断ってでも立ち寄ってしまう。そしてさながら本の森の中を行くトレジャーハンターのごとく、本が並べられた棚の中を歩き回っている。

毎回本を買うわけではない。買わないこともある。では何故そんなに本屋に立ち寄りたがるのか?と、疑問に思う人も多いと思う。そんなの時間の無駄じゃないか、と。それに答えるなら、やはり「本屋という空間が好きだから」としか言いようがない。それに尽きる。

だって本屋という存在は、私にとって旅行代理店のようなものなのだから。

「何だそれ?」と思われたかもしれない。けど、そう思うのも無理はない。だから、その理由を説明させてほしい。

本屋は本を売る場所、旅行代理店はパッケージツアーとかを売る場所。それは言わずもがな、誰もが知っていることだと思う。

本は本当に様々なジャンルのものがある。その中でも小説について見てみると、現実にある県だったり、架空の街だったり、いろいろな場所が舞台になっている。たとえ住んでいる場所から遠くても、なんなら架空の街でも、本を読めばその場所に飛んでいって、その街を巡ることができるのだ。これはすごいことだと思う。1冊の本にかかる金額といえば、単行本の小説で大体1500円前後。その金額だけを支払えば、自分の部屋や近所の喫茶店の中にいながらにして、今まで行ったことがない場所にだって一瞬で飛んでいくことができるのだ。それは、本を通じて旅行しているのと同じだと、私はいつも思っている。

だから、その本を売ってくれる本屋さんは、旅行代理店のような存在なのだ。

もちろん、本を読んだだけで全てを知れるわけではないし、現実に出かけてみないとわからないことも当然あるだろう。本の世界だけで全てわかった気になるのはとても危険なことだと思う。

だけど、人間は時間にもお金にも限りがある。行ってみたい場所全てに実際に行くことが難しい場合もある。そんな人生の中で、本という媒体を通じて様々な場所に「行ける」ということは、とても有意義なことではないだろうか。本の中であれば、架空の世界だって行くことができるのだ。素晴らしいと思う。

 

私は今日も本屋に立ち寄る。そして本を買う。まだ見ぬ世界へ旅立つために。